本記事は「筆者は実際にこうトレードしている」という手の内の公開であって、投資の正解を示すものではない。ここに書くルールは筆者が経験の中で作ってきた個人的な約束事にすぎず、統計的な検証を経たものでも、科学的な裏づけがあるものでもない。真に受けないでほしい。また、特定の銘柄や手法の売買を推奨する意図は一切なく、本記事を参考にした売買の結果についていかなる責任も負わない。それでも「一人の個人投資家が、何を見て、どこで入り、どこで逃げているのか」という具体例は、教科書には載っていない種類の教材になると思う。そのつもりで読んでほしい。
先に前提をひとつ。筆者が売買するのは株式の現物のみで、先物・オプション・FXには手を出していない。レバレッジと期限のある商品は、判断を間違えたときに「待つ」という最強の選択肢を奪うからだ。この記事に出てくるのは、すべて現物株の話である。
4. 入り方①=カタリストで窓を開けたら、小さく試す
5. 入り方②=上昇トレンドでは順張りで
6. 入り方③=下落トレンドは底打ち確認まで待つ
7. 入り方④=下値切り上げ(高値は同ライン)=買い圧
8. 暴落=「巻き添え」か「本質毀損」かで仕分け
9. 例外=米VIX30超・日経VI40超なら買い向かう
10. 需給の歪み=信用倍率1倍割れは踏み上げの燃料
11. アノマリー=衆院選前は買い、を筆者はどう扱うか
12. イベントドリブン=記念配当・記念優待の先回り
筆者の型=日足×大型株×モメンタムのスイング
筆者のメインは、日足チャートを見ながら、モメンタムが乗った大型株を数日〜数週間で回すスイングトレードだ。たまに、ボラティリティが激しく売買代金上位に顔を出している銘柄で買いサインが出たときだけデイトレードもするが、基本はスイング。だから売買回数は多くない。毎日何十回も売買するスタイルではなく、「型に合う場面が来たときだけ動く」待ちのスタイルである。
チャートで見ているのは実質3つだけ。ローソク足・移動平均線(MA)・ボリンジャーバンドだ。ローソク足で「その日の攻防」を、MAで「トレンドの向きと位置」を、ボリンジャーバンドで「行きすぎ」を見る。補助的にRSIと出来高を確認する。道具を増やさないのは、増やすほど「都合のいいサインだけ拾う」ようになるからだ。
テクニカルは信じていいのか=みんなが見ているから効く
「チャートの形で未来の株価が分かるわけがない」という批判は昔からある。もっともな面もあるが、筆者はテクニカル指標にそれなりの信頼を置いている。理由は「よく当たるから」ではなく、国内外の大口(機関投資家)から小口(個人)まで、多くの参加者が同じ指標を共通の物差しとして見ているからだ。みんなが25日移動平均線や直近高値、キリのいい株価を意識していれば、その水準に注文が自然と集まり、実際に反発や突破が起きやすくなる。いわば自己成就的(self-fulfilling)な側面である。筆者の体感でも、教科書どおりに動く場面は決して少なくない。
ただし過信は禁物だ。どの指標が「いま効く物差し」なのかは、数か月単位で移り変わることがある。ある時期は移動平均線とゴールデンクロスが主役でも、別の時期は出来高や特定のオシレーター、あるいは先物・オプション絡みの価格帯へ市場の関心が移る。とくに昨今は情報が速く、流行り廃りのサイクルも短い。だから筆者は「テクニカルは正しい/正しくない」で固定せず、いま多くの人が何を見ているかを注視し続けるようにしている。効く物差しは、参加者の顔ぶれとともに変わっていくものだからだ。そしてどの物差しを使うにせよ、外れたときにどう逃げるか、つまり後半で説明する出口戦略が結局いちばん効いてくる。
その前に=入り方は意外となんでもいい。本体は資金管理
ここから具体的な買い方を並べる。ただ、その前にいちばん大事なことを言っておきたい。基本はこのあと挙げる買いサインに従えばいいのだが、白状すると、入り方そのものは、実はなんでもいい。売買代金の上位に顔を出したから、セクターの中で出遅れて見えるから、ニュースで取り上げられたから。極端に言えば「親友がその会社に入社したから」でも構わない。きっかけが何であれ、勝ち負けを最終的に決めるのは、そこではない。
本当に効くのは資金管理だ。筆者は、明確な買いサインがどれだけ揃っているかで投入額を変える。目安はこう。①はっきりした買いサインの半分以上が当てはまるなら、資金の2〜3割を入れる。②半分以下しか当てはまらないなら、資金の1〜2割からの打診買いにとどめる。そして残した余剰資金で、ダメだったポジションの損切りをこまめに回していく。入り方を100点にすることより、1回の負けを小さく抑え続けることのほうが、よほど口座を守ってくれる。
① 明確な買いサインが半分以上そろう → 資金の2〜3割を投入
② 半分以下しかそろわない → 資金の1〜2割から打診買い
どちらの場合も、残りは余剰資金として確保し、損切り・買い増しの弾に回す。
入り方①=カタリストで窓を開けたら、小さく試す
ひとつめの型は「材料が出た瞬間の勢いに乗る」やり方だ。カタリスト=株価を動かす具体的なきっかけのことで、代表例はサプライズ決算や、大手企業との大型提携の発表(半導体関連なら「NVIDIAとの提携」のような報道が典型だ)である。こうした材料で株価が窓を開けて直近の高値を上に抜けたら、まず小ロットで打診買いする。打診買い=いきなり全力で買わず、予定量の一部だけ入れて相場の反応を確かめる買い方だ。そこから続騰し、堅調な値動きが続くようなら買い増していく。
ポイントは「当てにいく」のではなく「ついていく」ことだ。材料の中身を自分が完璧に評価できなくても、窓を開けて上抜けたという事実は「市場がその材料を強気に織り込み始めた」ことを示す。筆者はその初動に小さく乗り、正しかったときだけサイズを増やす。間違っていたときの損は打診買いの分だけで済む。
入り方②=上昇トレンドでは順張りで
ふたつめの型は、すでに上昇トレンドに乗っている強い株に、順張りで相乗りするやり方だ。話題のハイテク株や、流行している飲食系の銘柄などが対象になる。ここで筆者が必ず確認するのがパーフェクトオーダーである。
そのうえで、ボリンジャーバンドとRSIで「すでに行きすぎていないか」を見て、さらに時価総額の上値余地を考える。時価総額がすでに巨大な銘柄が株価2倍になるには、兆円単位の新しい買い資金が必要になる。「この会社があと何倍になったら、どの会社と同じ規模になるのか」を一度想像してみると、期待が現実的かどうかの感覚がつかめる。話題性・チャートの形・規模感の3つが揃ったときだけ入る。
ひとつコツがある。上昇トレンド(パーフェクトオーダー)が確認できたら、安く買おうと押し目を待ちすぎないことだ。相場には「押し目待ちに押し目なし」という格言がある。強いトレンドでは、待っているような都合のいい押し目は来ないまま、するすると上へ行ってしまうことが多い、という戒めだ。だから確認できたトレンドには順張りで、まず打診的に乗ってしまう。押し目は「来たら買い増せる場所」であって、「来るまで待つ場所」ではない。
ちなみに、このMAの並びが上下そっくり逆になった状態(上から長期→中期→短期→株価がすべて下向き)をデスオーダーと呼ぶ。パーフェクトオーダーのちょうど裏返しで、下降トレンドが最も強い形だ。ここは買い向かう場面ではなく、下落トレンドの株に手を出さない筆者のルール(入り方③)そのものの裏づけになる。
入り方③=下落トレンドの株は「底打ち確認」まで待つ
下落トレンドに入っている銘柄には、原則として手を出さない。例外は、業績・財務がしっかりした優良銘柄か、自分が事業内容を理解して信じている銘柄だけで、その場合も底打ちを確認してから入る。理想はパーフェクトオーダーが再び完成してから。そこまで待てなくても、最低ラインは25日MAが上を向いてからで、そこから小ロットで買い始める。
下げている最中に「安くなったから」と買うのは、逆張りのなかでも特に難しい「落ちるナイフを掴む」行為だ。底で買うことは諦めて、底を打って上がり始めた「2番目においしい場所」から乗る。多少の値幅を捨てる代わりに、ナイフが刺さる事故を避ける発想である。
入り方④=下値切り上げ(高値は同ライン)=買い圧の強まり
4つめは、チャートの形そのものが買い圧の強さを教えてくれるパターンだ。高値は直近高値とほぼ同じライン(水平の抵抗線)で頭を抑えられているのに、安値のほうは切り上がっていく。この「下値切り上げ」が続く形は、上値では売りに押し返されつつも、より高い位置で買い直す人が増えていることを意味する。つまり抵抗線の下でエネルギーが貯まっている状態だ。教科書的には上昇トライアングルと呼ばれ、上放れ(ブレイク)につながりやすいとされる。
筆者はこの形を見つけたら、切り上がる安値どうしを結んだ支持線と、水平の抵抗線がだんだん収束していくのを待つ。そして株価が再び直近高値と同じラインまで来たところ(=ブレイク直前)で、打診的に買いたい。ここから出来高を伴って抵抗線を明確に上抜けたら順張りで乗り増しし、逆に上抜けできずに支持線を割ったら「形が崩れた」と見て早めに撤退する。
暴落=「巻き添え」か「本質毀損」かで対応は真逆
保有株や監視株が暴落したとき、筆者が最初にすることは値段を見ることではなく、下落の原因を2種類に仕分けることだ。
仕分け1=巻き添え型。指数全体の急落に連れ安した、同業他社の不祥事で連想売りされた、大口の換金売りに巻き込まれたなど、その企業の将来の稼ぐ力(企業価値)とは関係のない理由で下がった場合。これは筆者にとって買いの場面だ。急落後の一時的な反発(いわゆるデッドキャットバウンス=「死んだ猫でも高いところから落とせば跳ねる」という相場の俗語)だけを取りにいくこともあれば、そのまま戻りを持ち続けることもある。持ち続ける条件はシンプルで、大陰線が出ない限り持つ。出たら降りる。反発が本物の反転か、一時的なバウンスで終わるかは事前には分からないので、降り口だけ先に決めておくわけだ。
仕分け2=本質毀損型。粉飾決算の発覚、成長ストーリーの崩壊、構造的な金利上昇など、将来の企業価値そのものが毀損され、回復に長い時間がかかりそうな理由で下がった場合。これは反発を待たずに売る。理由は単純で、こうした局面では機関投資家も売り続けるうえ、新しい買い圧力が見込めないからだ。「安くなったから戻るだろう」は、価値が壊れた株には通用しない。
例外=米VIX30超え・日経VI40超えなら、下落トレンドでも買い向かう
入り方③で「下落トレンドの株には手を出さない」と書いたが、ひとつだけ例外がある。市場全体がパニックに陥ったときだ。筆者はその物差しに恐怖指数を使っていて、具体的には米国のVIXが30を超えるか、日経平均VI(日本版の恐怖指数)が40を超えたら、下落トレンドの最中でも買い向かうことにしている。
理屈はこうだ。恐怖指数が極端な値をつけるのは、売りたい人がいっせいに投げている局面で、裏を返せば売りの出尽くしが近づいているサインでもある。過去を振り返っても、恐怖指数の極値は大底の近くと重なることが多かった(2024年8月に日経平均VIが70を超えた急落も、その後相場は急反発した)。ただし、30や40に達した瞬間が底だという意味ではない。恐怖はそこからさらに膨らむことがあるし、恐怖指数は天井も大底もピンポイントでは教えてくれない。だから筆者は一括では買わず、分割で、現物のみで、余力を残しながら買い下がる。対象もインデックス(指数連動の投信・ETF)か、前の節の仕分けで「巻き添え型」と判断できる優良株に限る。本質毀損型の株は、恐怖指数がいくら高くても買わない。
恐怖の最中に買うのは、頭で分かっていても手が動かないものだ。だからこそ数値のルールにしておく。「米VIX30・日経VI40」という機械的なラインは、感情が最悪のときに手を動かすための、筆者なりの装置である。これも経験則にすぎず、次の暴落で機能する保証はない。
需給の歪み=信用倍率1倍割れは「踏み上げ」の燃料
チャートと材料のほかに、筆者は需給も見る。注目しているのが信用倍率(=信用買い残÷信用売り残)で、これが1.0倍を割り込むような極端な水準は買いを検討する場面だと考えている。倍率1倍割れ=売り方が買い方より多い状態で、空売りした人はいつか必ず買い戻さなければならない。つまり売り残は「将来の買い注文の予備軍」であり、株価が上がり始めると売り方の損切りの買い戻しがさらに株価を押し上げる。これが踏み上げだ。2026年4〜6月の半導体株の急騰は、売り方の買い戻しが上昇を加速させた典型例だったと筆者は見ている。
アノマリー=「衆院選前は買い」を筆者はどう扱うか
筆者は衆議院の総選挙前は基本的に買いで臨む。政策への期待感から相場全体が上がりやすい、と昔から言われる経験則で、実際、過去の解散から投開票日までの期間の勝率は高かったとされる。ただし正直に書くと、戦後の総選挙は数十回しかなく、試行回数が少なすぎて統計的な証明にはならない。「歴史的に証明されている」とまでは言えず、たまたまの連続かもしれない。だから筆者はこれを主役ではなく「追い風の一つ」として扱い、選挙前だからという理由だけでポジションを増やすことはしない。アノマリー全般の考え方はアノマリー検証の記事に書いた。
イベントドリブン=記念配当・記念優待の「先回り」
もうひとつ、筆者が有効だと感じているのがイベントドリブン(=特定のイベントに向けた資金の動きを先回りする投資)だ。具体的には、創業◯周年などでありえない水準の記念配当や記念優待を発表した銘柄に、権利落ち日の数か月前に入り、権利落ちの2週間ほど前に売り抜ける。周年記念で優待が話題になりやすい銘柄の代表格として、オリエンタルランドの名前がよく挙がる(もちろん同社を推奨する意図ではなく、あくまで「こういうタイプの銘柄」の例である)。
理屈はこうだ。配当や優待の権利を取りたい個人の買いは、権利付き最終日に向けてじわじわ集まってくる。一方、権利落ち日には配当・優待の分だけ株価が下がるのが理論的な帰結で、直前に買った人ほど落ち分を食らいやすい。だから筆者は需要が集まりきる前に仕込み、需要のピークが来る前に売る。権利は取らない。優待取りそのものではなく、「優待取りに来る人たち」に向けた先回りである。これも筆者の経験則では機能してきたが、同じ発想の先回り勢が増えれば前倒しで織り込まれて機能しなくなる、という宿命を持つやり方だ。
逃げ方①=損切り:撤退サインを入る前に決めておく
「逃げ方」は大きく2つに分かれる。ひとつは損切り=思惑が外れたときに損を小さく確定させる逃げ方、もうひとつは利確=伸びた利益を確保する逃げ方だ。このセクションで損切り側を、次のセクションで利確側を説明する。順番にも意味がある。守り(損切り)を先に固めないと、攻め(利確)は絵に描いた餅になるからだ。
買った株が想定と逆に動いたとき、筆者は次の3つを撤退サインにしている。(1) 出来高が細りながら25日MAを割って続落する、(2) 上昇の起点になった窓を埋めてさらに下がる、(3) 上ヒゲの長い大陰線が出る。大陰線=始値から大きく下げて終えた、実体の長い陰線のことだ。いずれかが出たら、ポジションの半分を処分して次の買いサインが出るまで放置する。資金が少ないときは全部処分だ。
「半分だけ売る」のは、全部の判断を一度にしないためである。半分売れば、上がっても下がっても「半分は正解だった」ことになり、冷静さを保ちやすい。損切りをためらって塩漬けにするくらいなら、半分ずつ機械的に手を動かすほうがずっといい、というのが筆者の実感だ。ただし下がった株を安易に買い足すナンピンとは別物だ。撤退サインが出ているのに買い足すのは、筆者のルールでは禁止である。
逃げ方②=利確:+2σからは警戒モード
買った株が順調に上がっていくと、いつかボリンジャーバンドの+2σに到達する。筆者は+2σにタッチしてからは常に警戒モードに入り、そこで上ヒゲの長い大陰線が出るか、RSIが90を超えたら、いったん売る。また、ボリンジャーバンドの+3σにタッチしたときも、統計的にかなり稀な行きすぎなので、それ単独で一段強い利確サインと見て半分を売る。教科書はRSI70で「買われすぎ」とするが、モメンタムの強い相場ではバンドの上端に張り付いたまま上がり続ける「バンドウォーク」が起こり、70では早すぎて途中下車になることが多い。だから筆者は極端な90を「さすがに行きすぎ」のラインに置いている。これも筆者の経験則であって、90という数字に根拠はない。
いったん売った後、まだ上昇の物語が終わっていなさそうなら買い戻しを狙う。「終わっていない」の判断材料は、地合いが良い、RSIが30を割るところまで調整した、三尊天井がまだ完成していない、出来高がまだ残っている、といったあたりだ。そのうえで、大陽線が出た日、MA付近で下ヒゲをつけた日、下げ幅が小さくなってヨコヨコし始めた日、あるいは−2σにタッチした日に、少しずつ買い戻す。いずれも「売りの勢いが尽きた」ことを示す反発サインだからだ。ただし買い戻した後にまた上ヒゲ陰線が出たら、意地を張らずに売ってみる。同じサインには同じ対応をするのがルールである。
長期投資=ルールは「生活」と「時間」から作る
※ここからは本編(モメンタム×スイング)のおまけ。値動きを追うトレードとは別腹の、腰を据えた長期保有の話を軽く添えておく。
ここまではスイングの話だが、筆者は別枠で長期保有の株も持っている。長期の銘柄選びのルールは3つだ。
ルール1=自分が「選んで」使っているサービスの会社。数ある選択肢の中から、自分が好き好んで選び、使い続けているサービスの会社は買い候補にする。伝説のファンドマネージャー、ピーター・リンチの「身近な生活から探す」発想に近い。ポイントは「使わされているもの」ではなく「選んだもの」であることだ。地域に一社しかないインフラを使っていても、それは選好の情報を含まない。筆者の場合、この基準でいちばん確信を持てたのは銀行だった。手数料・アプリ・金利を比べて自分で選び、乗り換えずに使い続けている——その事実自体が、他の客も離れにくいことの傍証になる。ただし車と不動産は要注意だ。買う頻度が低すぎて自分の1回の体験に代表性がなく、景気にも敏感で、「良い商品の会社」と「儲かる会社」が一致しにくい。
ルール2=自分の子どもに将来入ってほしいと思える会社。これは合理的な銘柄選択の基準というより、筆者にとっての規律の装置である。お金は子どもと同じくらい大切なものだ。だから「大切なものを長く預けるに値する相手か」という問いを通すと、目先の値動きで飛びつく銘柄が自然とふるい落とされ、売買も減る。感情的な基準であることは自覚しているが、長期投資でいちばん難しい「持ち続けること」を支えてくれている。
ルール3=30年後も潰れていなさそうな会社を、暴落時に。個別株の長期は、30年後も存続していそうな事業基盤があり、財務健全性が高く(自己資本比率や有利子負債の水準を確認する)、連続増配(毎期、配当を増やし続けてきた実績)のある銘柄に絞る。連続増配の実績は「不況期にも配当を維持・増額できた」という経営の履歴書だ。そして買うタイミングは平時ではなく、暴落などで市場全体が投げ売りされているときに限る。良い会社を安く買う機会は、皮肉なことに、相場がいちばん怖いときにしか来ない。
よくある誤解
誤解1=「勝っている人のルールを真似すれば勝てる」。ルールは、その人の資金量・性格・使える時間・リスク許容度とセットで初めて機能する。筆者の「半分売り」は筆者のロットだから成立するのであって、資金が少なければ手数料負けするし、性格が合わなければルールを守れない。他人の手法は「部品」として参考にし、自分の設計図は自分で描くしかない。
誤解2=「サインが出たら必ずそうなる」。本記事に出てきたサインは、すべて「そうなりやすい(気がする)」という確率の話であり、ダマシは日常的に起こる。筆者のルールが撤退条件だらけなのは、サインを信じていないからではなく、サインは外れるものだと最初から決めてかかっているからだ。
自分で確かめる方法
もしこの記事の考え方に興味を持ったとしても、いきなり実弾で試さないでほしい。まず過去のチャートを開き、本記事のルールを当てはめて紙の上で売買してみる(どこで入り、どこで逃げたことになるか)。次に、実際に売買するなら最小単元・小ロットで始め、すべての売買を「入った理由・出た理由」つきで記録する。材料の確認は必ず一次情報——決算短信と適時開示(取引所のTDnetで誰でも読める)——で行う。信用残・空売りの状況はJPXの公表データで確認できる。3か月も記録をつければ、筆者のルールのどこが自分に合い、どこが合わないかが自分の言葉で言えるようになるはずだ。
① 筆者の軸は「日足×大型株×モメンタムのスイング」。見る道具はローソク足・MA・ボリンジャーバンドの3つに絞り、型に合う場面だけ動く。
② 入るときは打診買いから、逃げるときは半分ずつ。撤退サイン(出来高細り+25MA割れ・窓埋め・上ヒゲ大陰線)は入る前に決めておく。
③ アノマリーやイベントドリブンは「追い風」扱い。すべて科学的根拠のない経験則であり、再現の保証はない。
・日本取引所グループ(JPX)「信用取引残高等」「空売り集計」、適時開示情報閲覧サービス(TDnet)
・各社の決算短信・IR資料
・各証券会社の投資情報(移動平均線・ボリンジャーバンド・RSI等のテクニカル解説)